「人生会議」と「こころ」.ダブルヘッダーで緩和ケアの勉強会.

歳をとるごとに月日の過ぎるのが早く感じるとはよく言われていますが,まさしく,2019年も知らぬ間に1ヶ月が経過しました.

 

2月になると,このブログで勉強会と呼ぶ研究会や学会など毎週末に開催されるようになります.

以前であれば,外科医として手術や抗がん剤に関連した勉強会に参加することがほとんどでしたが,最近はもっぱら「緩和ケア」「在宅医療」に関する勉強会がメインになっています.

 

外科医として共に勉強し酒を酌み交わした先輩方や仲間達が懐かしく,若干のさみしさを感じつつも,新たな分野で幅広い職種の方々と交流できる現在の立ち位置も,新鮮で楽しいものです.

 

2019年2月2日,穏やかに晴れた土曜日の午後,午前の仕事を少し早引きさせていただき,2つの勉強会に参加してきました.

 

知っていますか?「人生会議」

1つ目は堺市医師会や堺市が主催する市民公開講座で,
知っていますか?「人生会議」〜もしもの時に備えて,自分らしく生きるために〜
です.

「人生会議」とは,ACP(Advanced Care Program)のことです.

「人生の最終段階における医療・ケアの決定のプロセス」と日本語訳されるACPを,これでは意味が通じにくく普及しないと考えた厚労省が,「人生会議」と命名したものです.

 

堺市は,この「人生会議」・ACPの分野に積極的に取り組んでおり,市立堺総合医療センターを中心として複数の勉強会を開催されています.

今回は,市民公開講座ということで医療者ではない一般の方々を対象としたものでした.

 

学んだこと

プログラムの第三部として行われたパネルディスカッションがとても印象に残りました.

 

消防士,市の職員,自宅で家族を看取った一般の方など,普段あまり話を聞くことのない方々からの体験談や人生会議についての意見が新鮮でした.

  • 人生会議を始めるのは,かかりつけ医や病院の担当医がスイッチオンするのが良いのではないか?
  • 普段一緒に住む家族以外にも人生会議の内容を共有しておく必要がある.
  • 余命が限られているということを,家族だけで抱え込まず近所の方々にも知らせることで,いろいろな人がサポートをしてくれ,介護負担が減った.
  • 人生会議は,元気な時に行う場合と,大病を患って実態感があるときに行う場合に,大きく分けられる.
  • 壇上のパネラーであっても,自分の家族と元気なときに行う人生会議は実際に行っていないかたもいる.きっかけが掴みにくいためである.有名人の死亡のニュースなどがきっかけとしていいのでは?.
  • 体の状態や環境は変化していくので,人生会議は一度きりではなく,繰り返すことが重要.
  • 人生会議で話しあうというプロセスが重要.

 

泉州こころ

元近大堺,現近大奈良病院の緩和ケア科の大塚先生らが代表となり,泉州(大阪南部)を中心とした多職種が参加する緩和ケアの勉強会です.

 

緩和ケア研修会(PEACE研修会)のファシリテーターを行っていた関係から,以前よりこの会のことは知っていて何度か出席を考えましたが,他の勉強会などと重なることが多く,ようやく参加することができました.

 

泉州こころでは,緩和ケアに難渋した症例をもちより,その経過をプレゼンテーションし,参加者でディスカッションを行い,最後に症例提示者からの質問や悩みなどをグループワークで話し合うというスタイルの勉強会です.

冒頭30分程度施設の紹介や講演がありますが,17時30分から20時まで続く,タフな勉強会でした.

 

症例に関しては個人情報の問題もあり,ここでは紹介できませんが,癌という診断や根治不能であることなどのバッドニュースを伝えることは難しく,高いスキルが求められるということを再認識させられました(あくまでもプレゼンテーション資料から個人的に感じた印象です).

最初のボタンの掛け違いが最期まで悪影響を及ぼし,結果として患者やその家族,対応にあたった医療者が苦しむことにつながります.

 

バッドニュースを伝えることは,医療者としても大変苦しく気力・体力がいることですが,医療職を選んだ以上逃げることは許されず,特に癌などの悪性腫瘍を扱う医師は正々堂々正面から向き合うべき事だと思います.

 

ただし,何も知識もスキルも持たない状況で闘うのは皆が不幸になる可能性が高いので,緩和ケア研修会(PEACE研修会)は役に立つんだろうなと,手前味噌的な感想をもちました.

 

また,患者さんは死への見通しをもっている一方で,死への恐怖を感じていて,そのギャップに苦しんでいたのだろうと感じました.限られた時間,関係性のなかで全てを聞き出すことは困難かもしれませんが,他職種による介入やアプローチ法を変えることで,ギャップに気づき対処していく必要性を感じました.

 

上手くいかなかったと感じる症例をプレゼンするということは,とても勇気がいることですが(未編集の手術ビデオを晒す事以上に),他職種みんなの意見を聞くことはとても実りが多く,またその症例を実際に経験していなくても大変勉強になります.症例提示をしていただいた施設の方に御礼申しあげます.

 

さらに,大阪南医療センターの上島先生の計らいで自己紹介をする時間もいただき,参加して良かったです.

 

次回は,2019年4月13日土曜日,耳原総合病院で開催予定です.開業後どうなっているか分かりませんが,是非とも出席したいと思います.

 

お疲れ様でした

ダブルヘッダーで勉強会に参加しましたが,実際近畿中央呼吸器センターの所先生をはじめ,多くのかたが主催者としてダブルヘッダーされていました.

 

両会ともとても新鮮で,多くのポイントを学ぶことができ,有意義な土曜の午後を過ごすことができました.

 

どうもありがとうございます.

 

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