「人生会議」と命名.岸和田市民病院川島先生によるACP講演会 

2018年11月30日,大阪南医療センターを退職したその日の夜,第35回大阪南緩和ケアセミナーの特別講演として,市立岸和田市民病院緩和ケア内科の川島正裕先生をお招きし,今話題のACP(Advanced Care Planning)について講演していただきました.

 

川島先生は,日本の緩和ケア領域の重鎮でありながらも非常に物腰優しい先生で,その声とやさしい口調に聞き入ってしまいます.

緩和ケア研修会(PEACE研修会)を修了された方の中には,便潜血陽性のため精査が必要といわれた女性が外来を受診するというロールプレイの導入動画を,覚えている方もいるかもしれませんが,まさしくあの動画中の先生役をされていた先生なのです.大阪南との関連も深く,第1回PEACE研修会から講師としてご参加いただいていました.

私も,PEACE研修会の講師として何度がご一緒させていただきました.ある研修会で,初めてロールプレイのモジュールを担当したのですが,緊張してまごついていると,そっとアドバイスをしてくださったり,終わったあと褒めてくださったり,大きな自信となりました.

 

前置きが長くなってしまいましたが,今回の川島先生の講演と,その後の懇親会での会話を通して,私なりにACPについて理解が深まったので,皆さんと共有したいとおもいます.あくまでも私見ですので,ご了承ください.

 

人生会議

ACPは「人生の最終段階における医療・ケアの決定のプロセス」と日本語訳されるのですが,厚労省はACPのことを「人生会議」と命名しました.

 

私の周囲では,この名称に対する評判はあまり宜しくないですが,人生会議をどう進めていくかが課題となります(この記事ではACPとして記載していきます).

 

ACPのやり方

ACPをどうのように行っていくか?

 

難しいですよね.

 

患者さんの立場にたって考えてみましょう.

外来でも入院でもいいですが,いきなりたくさんの医療者に囲まれて,「人生の最終段階でどんなことを望みますか?」「人工呼吸器は付けますか?」とか聞かれても,ビックリして答えられないし,突然すぎると反発の気持ちが湧いてきたり,逆に自分がもう最終段階に入っていると知ってショックを受けたりするかもしれません.

 

医療者側から考えてみても,難しい話を切り出すことの精神的負担が大きいし,患者さんの意思がなにも分からない状況で一から考えを引き出していくには,時間がかかりすぎます.

 

思うに,日常診療のなかでは何も聞き出さず,あるとき突然「さあ今からACPをやるぞ!」と身構えて行う類いのものではないようです.

日々の診療や会話の中で,患者さんの意思を少しずつ引き出していく.そして経過の中で,例えば体調が変化した,抗癌剤が効かなくなってレジメンを変更する,患者が将来への不安を口にした,などの変化をきっかけとして,みんなで集まってACPを行うのが良いのではないか.

 

医療者(医師,看護師だけでなく医療にかかわるすべての人)には,普段の何気ない会話の中から患者の意思を聞き出していくというスキルが求められるのではないかと思います.

常に患者の身体的・心理的な変化に気を配っておけば,自然な流れでACPを行うことができるかもしせれませんね.

 

懇親会

講演会の後は,大阪南医療センターの緩和ケアサポートチームの面々と,いつもの「ゆう」で川島先生を囲む会を開きました.

上島先生と私のおやじギャグの応酬に,川島先生がちょっとひかれていたのは気のせいでしょうか?

 

村口さんのお腹が・・・.

 

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