大坂なおみ選手の「I’m sorry.」発言に対する雑感

先日,テニスの全米オープンで,大坂なおみ選手が見事優勝しましたね.

全米オープンは,全英(ウィンブルドン),全仏(ローラン・ギャロス),全豪と並ぶ4大国際大会の一つです.「グランドスラム」という言葉をご存じのかたも多いと思います.

 

その全米オープンで,若干20歳の「日本人」が,米国人である絶対女王セリーナ・ウィリアムズに決勝で破って優勝してしまったものだから,大きな話題となっています.

http://www.naomiosaka.com/

I’m sorry it had to end like this.

日本人初のグランドスラム優勝という快挙の陰で,大坂選手の発言が話題になっています.

「I’m sorry it had to end like this.」

日本語に訳すと,

「このような結末となってしまって,I’m sorry.

 

この「I’m sorry」の解釈を巡って,

「勝ってしまってごめんなさいと謝罪した」,

いや「このような結果となって残念だった」と訳すべきだ.

 

などなど,結構な論争になっています.

 

この発言が論争になっている背景には,決勝戦の相手であるセリーナ・ウィリアムズの存在があります.

セリーナは言わずと知れた女子テニス界の絶対王者で,過去に4大大会で23回も優勝(豪 7, 仏 3, 英 7, 米 6)しています.

2017年は妊娠と出産のため,戦列から離れていましたが,2018年に復帰しています.

Wikipediaによると,周産期は結構大変だったようですね.

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%BA

今回の全米オープンで,困難な周産期を母子ともに克服したセリーナが,自国開催の全米オープンで復活優勝を遂げるというストリーを描き,大会を盛り上げようとキャンペーンがはられていたようです.

 

そんな中,セリーナに憧れている大坂選手が,勝ってしまった.セリーナが癇癪を起こして自滅した側面はあったにせよ,圧勝でした.

 

その後の表彰式では,観客からブーイング(理由は様々なようです.大坂選手に対するブーイングではないと願います)がおこり,その後のインタビューでの「I’m sorry.」へとつながったようです.

 

この「I’m sorry」について,様々な議論がなされています.

日本のマスコミは,「勝ってしまってごめんなさいと謝罪した」と報道し,それに対して「謝罪」ではなく「こんな終わり方になって残念だ」というのが正しい日本語訳だ,となって,ネットでは大論争になっています.

 

後者の意見をブログで書かれた吉原さんのブログへのリンクを貼っておきます.

https://mariyoshihara.blogspot.com/2018/09/us.html?m=1

コメント数が240件を越え,関心の高さが垣間見えます.ある意味炎上レベルです.

 

結局,真意は本人にしか分からないということで,本人にインタビューがされ,

「And I felt like I had to apolpgize.」

この言葉の前の会話からも,「みんなセリーナの勝ちを期待していたみたいだけど,勝ってしまってごめんなさい」という感じでしょうか.

http://stress-free-english.net/blog/qa/5378/

 

大坂選手らしい,純粋で正直な言葉ですね.好感がもてます.

 

医療界における I’m sorry.

さて話題を医療界にむけると,何かトラブルがあったときに患者さんや家族に謝罪するか否か,ということが議論になった時期がありました.

まさしく「I’m sorry.」と言うべきか否か.

 

米国ではトラブルがあったときに「I’m sorry.」と言うと,自分のミス,過失を認めることになるから絶対に言ってはいけないんだ,とまことしやかに言われています.

 

本当でしょうか?

 

Sorryという単語には,ごめんなさいという「謝罪」の意味以外にも,悲しみを表す意味,哀悼の意を表す意味があります.

日本語にすると,「残念です」「私も心が痛んでおります」「辛かったでしょうね」など共感の気持ちですね.

 

映画を見ていると,亡くなった人の家族に「I’m sorry・・・」と言っているのを耳にしますし,ツライ事があった人に「I’m sorry・・・.」と同情の気持ちを伝えていることもあります.

 

実際にフロリダ病院のアルバート先生は,手術の合併症が発生した患者さんやご家族に,「I’m sorry.」と言っていました.この場合の「I’m sorry.」の意味は,「謝罪」なのか「共感」なのか,判断するのは難しいですが,前後の会話を聞いていると「共感」の意味合いが強いと感じられました.

 

「I’m sorry.」と言ってはならない,はウソです.

 

手術を行っていると,どうやっても合併症が一定頻度で発生してしまいます.我々外科医は,その事実にあぐらをかいているわけではなく,合併症を無くすよう,重症化しないよう,勉強したり練習したり,術前の準備,術中の確認作業を怠らないようにしています.

それでも,合併症は発生してしまいます.

手術合併症の発生は,患者さん本人はもちろんのこと,われわれ外科医にとってもとてもツライことです.

「命を託してくれた患者さんに申し訳ない」

「辛い状況になってしまって申し訳ない」

素直な気持ちを表現することは間違った事ではないと思います.

 

ところで,人気TV番組「イッテQ」の企画の中に,「出川哲朗のはじめてのおつかい」シリーズがありますね.アメリカの観光地で出川氏が一人で放り出され,指定された目的地まで,現地の人に尋ねながら移動するという内容です.

全く英語を話せない出川氏が,出川イングリッシュと呼ばれる言語?を用いて,訪ね歩く姿が面白い.

 

そろそろ誰か「ソーリー,ソーリー」ではなく,「エクスキューズ・ミー」ぐらい教えてあげてもよくね?

 

もう,ええわ.