2020年11月9日，ついにコロナワクチンが完成したかも？との発表がありました．

新型コロナウイルスのワクチンを開発中の米製薬大手ファイザーと独バイオエヌテック（BioNTech）は9日、治験の予備解析の結果、開発中のワクチンが90％以上の人の感染を防ぐことができることが分かったと発表した。

BBC NEWS JAPAN
https://www.bbc.com/japanese/54869478

米国のファイザー（PFE）と，ドイツのバイオエヌテック（BNTX）が共同で開発した新型コロナウィルスワクチンが，第3相臨床試験で良好な結果がでていると，ファイザー社が発表しました．

なんと有効性は90％！！

これでコロナともおさらばできる！？

　

この報道には問題点が2つあります．

1.　発表したのはファイザー社であり，米国の厚労省にあたるFDAが認可したわけではない．

2.　90％以上の人の感染を防ぐことができた・・・　本当に90％なのか確定していません．

　

1.　発表したのはファイザー社である

　この数字を発表したのは，あくまでもファイザー社であり，臨床試験の結果の一部を発表しただけです．今後米国で新型コロナワクチンとして広く接種されるためには，FDA（アメリカ食品医薬品局）で承認される必要があります．ファイザー社は11月の第3週にFDAに承認の申請を行う予定なので，まだワクチンが完成し世界中で接種ができる！となった訳ではありません．

　

2.　90％以上の人の感染を防ぐことができた？

　ものは言いようです．また言葉の選択は非常に難しいです．少しおおざっぱに数字を解説すると以下のようになります．

・第3相試験として4万5千人が登録されました．

・この方達には，約半数に本物のコロナワクチンが，残りの半数には偽薬（対新型コロナではないワクチン）が投与されました．

・ワクチンもしくはワクチンもどきを投与後，普通の生活を送ってもらいました（意図的にコロナ感染者の中に混ざってもらった訳ではありません）．

・その結果，約90人が新型コロナに感染しました．（symptomaticと表現されているので，なんらかの症状があってPCR検査を受けたのだと思います）

・その90人のコロナ感染者のうち，本物のコロナワクチンを受けたのは10人ほど，残りの80人は偽のコロナワクチンが打たれた人だった．

もし臨床試験に参加した方々が，同じような生活をし，コロナに感染する確率が同等であったならば，本物のワクチンを打つことで，その感染リスクが約90％低下した，となります．

これはこれで，素晴らしい成績ですし，期待します．

しかし，少し問題があります．4万5千人が臨床試験に参加し，僅か90人程度しか感染していません．実際にFDAに申請する際には，60人程度増やして申請するようですが，それでも150人程度．約0.3％の発症率で，ワクチンの有効性を語っていいものなのか？　もともとの試験デザインを調べてないのでただのイチャモンかも知れません．統計に詳しい方，いかがでしょうか？

　

ファイザー社の発表　=　FDAの承認

とはならない事に留意が必要です．

とはいえ，新型コロナの閉塞感から脱するにはワクチン完成しか方法はないので，どのような結果になるか？

個人的にはFDAで承認され，1日でも早く日本でも接種可能となることを期待しています．

　

勘が鋭いあなた，なぜticker symbolを併記したかわかりましたか？

ごちそうさまでした．

もうええわ