2022年 よろしくお願いします

新年,あけましておめでとうございます.2022年,皆様にとって良い年になりますよう,願っております.

2021年は,命,家族について考える年でした.

 2021年を振り返ってみたいと思います.

 2020年から続く新型コロナウイルス感染症が,さらに猛威を振るった一年でした.特に5月のゴールデンウィーク前後の第4波は,まだ我々もワクチン武装できていない時期であり,さらに身近なところで感染者が出て,辛い症状に苦しんでいるのを目の当たりしました.いつかは自分たちも・・・.そう考えると,自分たちも,職員の家族にも,自分の家族にも,様々な制限,自粛を求めた時期でした.さらに,第5波へと続き,恐れていた医療崩壊の一部を経験してしまいました.親近者でコロナ感染症による死亡者は出ませんでしたが,著名人が亡くなるなど,命の儚さを感じました.

 新型コロナ感染症以外でも,クリニックの前にあるスーパー付近で,アクセルとブレーキの踏み間違えによる,痛ましい死亡事故が発生しました.被害者,加害者それぞれ直接的な関係はありませんでしたが,私の患者さんから両氏の話を聞くことがあり,なんとも言い難い気持ちになりました.どちらの立場にもなり得る危険性を強く感じました.また,事故後のマスコミによる非常識な取材,いわゆる「メディアスクラム」の実態を目の当たりにし,野次馬根性の愚かさを実感しました.

 在宅緩和ケア医として,多くの患者さんの看取りに関わりました.同じような境遇の若い患者さんの死には,流石に涙を流さずにはいられませんでした.亡くなり行く患者さんの家族への思い,亡くなり行く患者さんへの家族の思いが,昨年以上に感じられ,心に沁みました.

 他人の死には関わってきましたが,自分自身の死について,真剣に考える事件もありました.詳細は控えますが,一瞬ずれていたら,今頃はあの世からみなさんの生活を見守っていたところでした.命あることの大切さ,命は限りあること,家族の大切さ,家族にとっての自分の大切さなど,これまで余り真剣に考えたことがありませんでしたが,初めて自分の死を意識することで,恐怖を感じ,家族の大切さを再発見し,後悔なく生活することの重要性を感じました.大丈夫ですよ.私は無傷で,ピンピンしてます.

 医師という職業は,決して尊敬,感謝されるだけではないことを再認識する事件も起こりました.大阪のクリニックでの放火事件では,院長を含めて25名の方が殺害されました.苦しむ方々が救いを求めて通っていたクリニックで,患者さんのために懸命に対応していた医師の無念を思うと,言葉が出ません.確かに感謝の言葉をいただくことが多い職業ですが,何かボタンの掛け違いで,全く反対の結果になることがあり得ることは肝に命じておきたいと思います.

 診療理念の中で,社会貢献を掲げていましたが,これまで活動できていませんでした.在宅医という立場上,自由な時間が少ないため,社会活動への参加はできませんでしたが,寄付という形で貢献ができました.日本人の美意識の中では,寄付したことを公言しない方が良いのかもしれませんが・・・.今後も続けていくために,一生懸命働きたいと思います.

2022年の抱負

 2022年4月で開業後3年が過ぎます.開業前はとりあえす3年は一人で突っ走ってみようと考えておりました.びっくりするぐらいの凹凸,多数のハードルはありましたが,なんとか這い上がり,乗り越え,飛び越え,結果的には,概ね順調に経過しました.なんとかやれるという自信がつきました.コロナ禍の影響で,多くの人が出入りすることを嫌ってきましたが,事業拡大に向けて少し人員を増やしたいと考えております.せっかくたにしまクリニックを頼って訪問診療を依頼していただいたにも関わらず,お断りせざるをえなかった状況を,少しでも改善できればと考えております.

 2022年も「在宅医療を受ける患者さんと家族の満足度を最大化し,地域で一番頼られるクリニックを目指します」とうい診療理念のもと,誠実に,迅速に,笑顔で,力強いサポーターとして暮らしを支え,地域コミュニティーへの積極的な参加を通して社会貢献に努めたいと思います.

 皆様のお力添えを,よろしくお願いいたします.